$ who
という話題ではない。近頃下がり続ける米ドルであるが、そういう話でもない。近頃私の周りにLinuxに興味を持ち始めている人が何人かいる。それでこのことに関してちょっと話したくなったわけだ。なぜ「$」かは、後述の通りである。
WindowsとLinuxとの違いは、なんと言ってもそれの向けられた対象(ユーザー)ではないだろうか。Windowsがこれだけ勢力を拡大したのはそのGUIをはじめとするユーザーフレンドリーなところである。誰でもとりあえず触ることができる、というわけだ。他方、Linuxの方は一時期もてはやされたものの最近は表立って取り上げられることは少ない。このこと自体が表しているが、Linuxの方は決して近づきやすいUIを持ってはおらず、誰でもというわけにいかない。中身が勝負なのである。ぶさいくな男のようである。
Linuxについて掘り下げてみよう。もともとLinuxはUnixをハックしたものであるから、ここでUnixと読み替えても差し支えない。(ただし、Unixの場合は、上記の対象という点では、もともとはLinuxと異なっている。)
ところで、Linuxの顔は「$」である。北欧で産まれたのにドルなのはUnixから来ているからである。このドルは、WindowsではExplorerにあたるものでシェルと呼ばれる。ちなみに、それよりさらに下位、すなわち重要なところに位置するのはカーネルである。32ビット系のWindows(今普通のやつ)はひとつのファイル、kernel32.dllというカーネルを持つ(C:\WINDOWS\SYSTEM32の下とかにいる)が、これがWindowsというOSの心臓なのである。Windowsと別れたいときはこいつをゴミ箱に入れるといいが、大切過ぎる(ゴミ箱自体もこいつの管轄下だし)ので捨てることはできない。
で、話をシェルに戻すと、今のWindowsではDOSコマンドプロンプトを思い浮かべればいい。一問一答的な対話式になっているはずである。プロンプトというのは恐らく待ち状態のことを指すが、Linuxのシェルでも同じでプロンプトがユーザーからの指令待ちの状態を示す。その状態がドルなのだ。シェルに入ると、
$
と表示される。ドルの前にごちゃごちゃ付く場合もあるが、ドルの後ろには何もない。こっちに何か入れろ、というわけである。で、
$ who
と、適当に入れてみる。Linuxは答えを返す。
user1 pts/1 Oct 21 04:08 (****.ppp.****.or.jp)
という具合に。もちろん「who」というのは適当ではなく、これが「誰がこのマシンにいますか?」というコマンドなのだ。この地味な対話を続けるのがLinux(あるいはすべてのUnix系)である。基本的に、これがこのOSのすべてだ。
ちなみに、Windows上でそのシェルやUnix系コマンドを利用する場合には、Cygwinを入れるといい。
世界のネットを支えているのは、Unix系のOSである。YahooもGoogleもそうだし、ほとんどの企業のWebページはそれらの上にある。先と同じ要領で、
$ ./httpd start
とするだけ(実際はもうちょっと大変だけど)で、世界中にWebページを配信することができる。あなたがひとつリンクをクリックする度に、見えないところでそのOSがグルグル回るのである。あまりにも忙しいところ(Googleとか)では、何10台、何100台もの勢いで同時にグルグル回るのである。こういうところで採用されるのは、その強固さからである。
最近はAppleのOSもLinux(SystemV系もしくはBSD系)ベースだかFreeBSDベースだかになった。以前のMacOSはしばしば恐ろしいマークが出ていたようである。このマークが顔を出すと、こちらはリセットするか電源を切るか。。。そのMacOSがカーネルにLinuxかBSDっぽいものを採用することによって、強固さは格段に高まったらしい。このUIに弱いOSをUI命のAppleがうまく使っているところが、今のMacOSの魅力なのだろう。と言いながら、全然使ってないが。